[mathjax]
速度に比例する抵抗力を受けながら自由落下する質点
大学物理で必ず通ると言っても過言ではないこの状況。
高校物理と違って微積分を用いないと解くことが出来ないと言うこともあってか、ほぼ必ず講義やテスト・レポートで出題される問題です。
改めて状況を確認しましょう。
問題設定
上図のように質量 \(m\)の質点が重力加速度\(g\)で初速度\(v_0=0\)で自由落下するとする。ただしこのとき質点は速度に比例する抵抗力\(kv\)を受けるとする。
すると運動方程式は
$$m \frac{d^2x}{dt^2}=-mg-k\frac{dx}{dt}$$
なります。
よくある解法
さてここでよくある解法を紹介します。
手順としてはこの微分方程式を解くために工夫をすると言うことなのですが、
$$m\frac{dv}{dt}=-mg-kv$$
のように\(dx/dt \rightarrow v\)書きます。
この次に変数分離法を用いて
$$\frac{dv}{dt}=-g-\frac{k}{m}v$$
$$-\frac{dv}{g+(k/m)v}=dt$$
変形します。
そして両辺積分することで、
$$-\int\frac{dv}{g+(k/m)v}dv=\int dt$$
$$-\frac{m}{k}\log\left|g+(k/m)v\right|=t+C$$
$$log\left|g+\frac{k}{m}v\right|=-\frac{k}{m}t-\frac{k}{m}C$$
$$v(t)=A\exp(-(k/m)t)-\frac{m}{k}g$$
初期条件は\(v(0)=0\)より
$$v(0)=A-\frac{m}{b}g=0$$
$$A=\frac{m}{k}g$$
$$v(t)=\frac{m}{k}g\left(\exp\left\{-\frac{k}{m}t\right\}-1\right)$$
のように解くことが出来るのでした。
さらにこの式を再び\(t\)で積分することによって
$$x(t)=-\frac{m^2}{k^2}g \exp \left\{-\frac{k}{m}t \right\}-\frac{m}{k}gt+E$$
初期条件\((x(0)=0\)より積分定数\(E\)は
$$x(0)=-\frac{m^2}{k^2}g+E=0$$
$$E= \frac{m^2}{k^2}g $$
したがって
$$x(t)=\frac{m^2}{k^2}g\left(-\exp \left\{-\frac{k}{m}t \right\}-\frac{k}{m}agt+1\right)$$
\(dx/dt\rightarrow v\)をする理由とは
ここで疑問に持つことが、なんで \(dx/dt \rightarrow v\)ということをしなければならないのかということです。そのまま積分すればいいじゃないか、はじめて習った方ならそう思うはずです。
両辺をチャッチャッと時刻\((t)\)で2回積分すれば良いじゃないかと。
実はそんなことができるとは限らないというのが今回のオチなのです。
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