【単語の詳細】鏡像法とは

電気鏡像法、鏡像法、映像法

導体の代わりに鏡像電荷(映像電荷)を用いて静電ポテンシャルや電場を求める方法のこと。

このページでは実際に鏡像法の使い方を見ていきましょう。

問題設定

よくある例題です。

\(x<0\)の領域が導体で満たされていて、\(x>0\)で、\(x_1,0)\)の位置に点電荷が置かれているという状況です。

この場合に静電ポテンシャルと電場を求めます。

しかし導体の分布のため、容易に求めることはできません。

こういうときに便利なのが鏡像法です。

鏡像電荷を置く

画像にも書いていますが、以下に鏡像法のステップをまとめます。

  1. 導体を取り払う。
  2. 導体の代わりに、元々あった点電荷と対称な位置に、符号の異なる点電荷を置く。
  3. これらの電荷によってつくられる静電ポテンシャルや電場を計算する。
  4. 導体の境界部分が等電位になっているか、また境界面に於いて、電場が静電ポテンシャル面に垂直であるか確認する。

導体の代わりに異符号の電荷、つまり鏡像電荷を置くことで、もともとの状況を再現するというのが鏡像法のやりたいことです。

静電ポテンシャルを求める

静電ポテンシャル\(\phi\)は、元々あった電荷と鏡像電荷の重ね合わせで求めることが出来るので、

\begin{align}
\phi=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left\{\frac{1}{\sqrt{(x-x_1)^2+y^2}}-\frac{1}{\sqrt{(x+x_1)+y^2}}\right\}
\end{align}

電場を求める

電場\(\vec{E}\)も前述同様に2つの電荷の重ね合わせで求めることが出来ます。しかし前節で静電ポテンシャルを求めているので、\(\vec{E}–grad\phi\)の関係を用いて電場を求めてみましょう。

\begin{align}
\vec{E}&=-grad\phi\\
&=-\frac{\partial\phi}{\partial x}-\frac{\partial\phi}{\partial y}\\
\end{align}

ここでそれぞれの偏微分は

\begin{align}
-\frac{\partial}{\partial x}\left[\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left(\frac{1}{\sqrt{(x-x_1)^2+y^2}}-\frac{1}{\sqrt{(x+x_1)^2+y^2}}\right)\right]\\
=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left[\frac{x-x_1}{\left\{(x-x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}-\frac{x+x_1}{\left\{(x+x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}\right]
\end{align}

\(y\)成分も同様にすると

\begin{align}
-\frac{\partial}{\partial y}\left[\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left\{\frac{1}{\sqrt{(x-x_1)^2+y^2}}-\frac{1}{\sqrt{(x+x_1)^2+y^2}}\right\}\right]\\
=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left[\frac{y}{\left\{(x-x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}-\frac{y}{\left\{(x+x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}\right]
\end{align}

よって

\begin{align}
\vec{E}=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left(\frac{x-x_1}{\left\{(x-x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}-\frac{x+x_1}{\left\{(x+x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}\\
,\frac{y}{\left\{(x-x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}-\frac{y}{\left\{(x+x_1)^2+y^2\right\}^{\frac{3}{2}}}\right)
\end{align}

境界面では等ポテンシャルなのか確かめる

導体の性質から導体表面のポテンシャルは等ポテンシャルになります。
鏡像電化を設置したとき、この条件を満たせているのか確認してみましょう。

境界面は\(x=0\)ですから

\begin{align}
\phi(0,y)&=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left[\frac{1}{\sqrt{x_1^2+y^2}}-\frac{1}{\sqrt{x_1^2+y^2}}\right]\\
&=0
\end{align}

こうして境界では等ポテンシャル出ることがわかりました。

電場が静電ポテンシャル面に垂直か確認する

これも電場に\(x=0\)を代入することで確かめられます。

\begin{align}
\vec{E}(0,y)&=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left(\frac{-x_1}{\left(x_1^2+y^2\right)^{\frac{3}{2}}}-\frac{x_1}{\left(x_1^2+y^2\right)^{\frac{3}{2}}},\frac{y}{\left(x_1^2+y^2\right)^{\frac{3}{2}}}- \frac{y}{\left(x_1^2+y^2\right)^{\frac{3}{2}}} \right)\\
&=\frac{q}{4\pi\epsilon_0}\left(\frac{-2x_1}{ \left(x_1^2+y^2\right)^{\frac{3}{2}} },0\right)
\end{align}

たしかに垂直な成分のみを持つことが確認されました。

なぜこれが成り立つのか

素朴な疑問は「どうして鏡像法が成り立っているのか?」

といったところでしょう。
これについてはコラムの方で解説するとします。

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